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[インタビュー] 渋谷東横前飲食街協同組合 村山茂代表理事

今回は、渋谷東横前飲食街協同組合、通称「のんべい横丁」の代表理事で「鳥福」店主の村山茂さん(64)にお話を伺いました。



横丁ができて今年で61年目ですよ。
当時は栄通りといった現在の東急本店通りや道玄坂の屋台の一部がここに集まってのんべい横丁ができました。
渋谷の東西南北にこうした横丁がありました。今残っているのはここだけですが、最初からの店は6,7軒になりました。


お客さんの顔ぶれは変わっても、お客さんの質は同じなので、ここの横丁文化は、昔のままです。
渋谷の街は、東横線、井の頭線という山の手文化の影響が濃い街です。だから、外に思いっきり発信することもないし、閉鎖的なところもあります。
のんべい横丁もなじみにならないと入りにくいところがあります。


なじむというのは、店に何回くればそうなるというわけではないです。
一種の信頼関係で成り立っている、カウンターだけの店でしょ。同じ空間を共有している、お店の人やお客さんとのコミュニケーションがとれるかどうか、で決まるんですよ。


大体、1時間から1時間半ぐらい腰を落ち着けて、焼鳥食べて中2本か日本酒2−3杯ぐらいで立ち上がるお客さんが多いですね。


横丁というのは、店同士も運命共同体で、お客さんとお店が一緒になって育てるところなんです。


私は、渋谷生まれの渋谷育ち。渋谷は下町っぽい街でなく、品位を大事にする街だと思っています。
渋谷の戦後はオリンピックまでで、それからずっと近代化してきましたが、人が集まるだけでなく品格を大事にした街づくりを渋谷は忘れてほしくないですね。


渋谷は若者の街といわれます。若い人は反社会的なことをやりかねない面もあります。が、渋谷は、若者にルールを教え、守ってあげる、育ててあげる街でもなければいけないと思うんです。


昔は、若い人に酒の飲み方を教える親父がいる店がたくさんありました。
のんべい横丁には、若いお客さんが増えています。摩訶不思議な、新鮮な世界なのでしょうね。なじみになったら、こんな味わいのある、居心地のよい空間はないですからね。街が変わってくると、横丁のある場所の価値が高くなってビルになっちゃいます。横丁が持つ文化は残さなければいけませんね。

   2012.06.20